「なるほど。しかし、俺が以前遠目に見たものはゆらゆらとその場に留まっていた。これについてはどう考える?」
「それなのですが──」
玲燕は顎に手を当てる。
「私はその実物を見ていないのであくまでも推測なのですが、これまでの鬼火の目撃記録を確認する限り、ゆらゆらと揺れる鬼火はどこも遠目にしか目撃されておりません。これは即ち、近くで見られると都合が悪いからではないでしょうか?」
「と言うと?」
天佑は玲燕に続きを促す。
「つまり、人が操作しているのです」
「人が操作か……。何にせよ、まずはこれまでの目撃現場から今朝見つけた棒と同じようなものがないかを調査しよう」
「はい、お願いします」
玲燕はこくりと頷いた。
◇ ◇ ◇
玲燕は夜空を見上げていた。月はいつの間にか新月を超え、上弦が少しずつ厚みを増している。天極の極星が今日も同じ位置に輝いているのが見えた。
部屋の扉をトントントンとノックする音がした。
「どうぞ」
声をかけると、扉が開かれ天佑が現れる。そろそろ来る頃だと思っていたと、玲燕は口の端を上げる。
「どうでしたか?」
「それなのですが──」
玲燕は顎に手を当てる。
「私はその実物を見ていないのであくまでも推測なのですが、これまでの鬼火の目撃記録を確認する限り、ゆらゆらと揺れる鬼火はどこも遠目にしか目撃されておりません。これは即ち、近くで見られると都合が悪いからではないでしょうか?」
「と言うと?」
天佑は玲燕に続きを促す。
「つまり、人が操作しているのです」
「人が操作か……。何にせよ、まずはこれまでの目撃現場から今朝見つけた棒と同じようなものがないかを調査しよう」
「はい、お願いします」
玲燕はこくりと頷いた。
◇ ◇ ◇
玲燕は夜空を見上げていた。月はいつの間にか新月を超え、上弦が少しずつ厚みを増している。天極の極星が今日も同じ位置に輝いているのが見えた。
部屋の扉をトントントンとノックする音がした。
「どうぞ」
声をかけると、扉が開かれ天佑が現れる。そろそろ来る頃だと思っていたと、玲燕は口の端を上げる。
「どうでしたか?」