「ああ、そうだな。最近は晴れが続いているから、よけいに水量が少ないのかもしれない」
「とても都合がいいです。もしかすると、思ったよりずっと早く解決するかもしれません」
「どういうことだ?」

 玲燕の言う意味がわからず、天佑は聞き返す。玲燕は黙ったまま、じっと水面を見つめている。そして、胡服の下履きをたくし上げるとジャブジャブと川の中に足を踏み入れた。

「おい、何をしている!」

 ぎょっとした天佑が叫ぶ。

「捜し物です」
「捜し物? 一体何を?」

 天佑は問い返す。玲燕が何を捜しているのか、皆目検討が付かない。
 訝しむ天佑に構うことなく、玲燕は辺りを見回している。

 二十分近くそうしていただろうか。中腰で水底に目を凝らしていた玲燕が、ぱっと立ち上がる。

「ありました!」
「一体、何があったというのだ?」
「これです」

 玲燕が持っていたのは、一本の棒だった。水に沈んでいたのでびしょびしょに濡れている。長さは二十センチほどで、箸と同じくらいの大きさだ。

「その棒がなんだというのだ?」
「よくご覧下さい。これは、ただの棒ではありません」
「なんだと?」