「果たしたい目的があるならば、使える手段は全て使え。それが賢い者のやり方だ」

 天佑は玲燕を見つめる。

(お父様の無念を、晴らせる?)

 先ほどまでは絶対にこの件からは手を引こうと決めていたのに、気持ちが揺らぐ。

「今お前が降りれば、天嶮学は永遠にまやかしのままだ」

 玲燕はぎゅっと手を握る。

「……やる。やるわ! やればいいんでしょっ! 私が必ず、そのおかしな鬼火の謎を解いてやるわ!」
「そうこなくては。期待している」

 天佑はにこりと笑う。

(この人、わざと煽ったわね……!)

 その整った笑みを見て、玲燕はこの男が思った以上に頭の回転の速い策士であることを感じた。じとっと睨む玲燕に絶対に気付いているはずなのに、天佑は涼しい顔をしている。

(絶対にさっさと解決して東明に帰るわ!)

 玲燕は決意を新たにする。

「私もその鬼火を見られますか?」
「日によって場所が違うからなんとも言えないが、日が暮れた後に水辺に現れることが多い」
「では、現れる可能性の高い水辺に連れて行ってください」
「わかった」

 天佑は頷く。