「まやかしではない! まやかしというならば、陰陽師のほうがよっぽどまやかしだ!」
「では、それをお前が証明して見せたらどうだ?」

 天佑は表情を変えぬまま、玲燕を見返す。

「なんですって……?」

「会った当初から思っていたが、その怒り様から判断するに、玲燕は天嶮学士のなんらかの関係者だろう? 弟子ではないと言っていたが、本当は弟子なのではないか? まやかしでないなら、お前がそれを証明して見せろ。それができないなら、そう言われても仕方がないだろう」

 玲燕は唇を噛む。
 天佑の言うことは極めて的を射ている。
 天嶮学がまやかしではない口で主張するだけでは、それを証明することはできない。

「最後の天嶮学士は皇帝の命で処刑された。私が天嶮学士ゆかりの者だったとして、その恨みで皇帝に害をなす可能性があるとは思わないの?」
「既に代替わりしている今の皇帝に害をなして、なんの役に立つ?」

 天佑はふっと口元に笑みを浮かべる。その表情からは、玲燕がそんな愚かなことをするはずがないという確信が窺えた。

「どうだ? この機会を、利用してみては?」
「……利用?」