◇ ◇ ◇
ドタドタという音に目を覚ました。
「雨?」
最初は屋根を叩く強い雨の音かと思った。しかし、すぐにこの音は雨ではないと気付く。
天井からではなく、部屋の一方から聞こえるのだ。それに、聞き慣れない大人の声も。
いつもと違う様子に、玲燕は飛び起きた。
寝ていたせいで解けかけていた衣の紐を結び直すと、部屋を飛び出て両親のいる部屋へと向かう。その最中、遠目に赤が目に入った。
「火事?」
闇夜に浮かぶのはいくつもの赤い炎。玲燕は目を凝らす。
「違う。松明?」
その松明を持つ見知らぬ男達の顔が、炎の明かりにぼんやりと照らされいた。
「誰? とと様!」
驚いた玲燕は叫ぶ。
すぐに両親の寝室へと駆け出したが、その部屋を目前にして足を止めた。
(あれは捕吏? なんで捕吏がお屋敷の中に?)
黒い服を着た複数の人影。
両親の部屋の前で長槍を構えているのは、罪人を捕らえる役務を負う捕吏に見えた。さらに、開かれた扉の奥には体を縛られて膝をつく父──葉(ヨウ)|秀燕の姿も。
ドタドタという音に目を覚ました。
「雨?」
最初は屋根を叩く強い雨の音かと思った。しかし、すぐにこの音は雨ではないと気付く。
天井からではなく、部屋の一方から聞こえるのだ。それに、聞き慣れない大人の声も。
いつもと違う様子に、玲燕は飛び起きた。
寝ていたせいで解けかけていた衣の紐を結び直すと、部屋を飛び出て両親のいる部屋へと向かう。その最中、遠目に赤が目に入った。
「火事?」
闇夜に浮かぶのはいくつもの赤い炎。玲燕は目を凝らす。
「違う。松明?」
その松明を持つ見知らぬ男達の顔が、炎の明かりにぼんやりと照らされいた。
「誰? とと様!」
驚いた玲燕は叫ぶ。
すぐに両親の寝室へと駆け出したが、その部屋を目前にして足を止めた。
(あれは捕吏? なんで捕吏がお屋敷の中に?)
黒い服を着た複数の人影。
両親の部屋の前で長槍を構えているのは、罪人を捕らえる役務を負う捕吏に見えた。さらに、開かれた扉の奥には体を縛られて膝をつく父──葉(ヨウ)|秀燕の姿も。