もちろん今の話は玲燕の想像の部分もあるが、これまで集めた情報から判断するに、かなり確度は高いと考えている。

「一方、甘栄祐様は兄である天佑様の死を知ったとき、大きな衝撃を受けた。そして、親しかった潤王に相談し、その死を隠してひとり二役をこなして犯人の暴き出して敵を討とうと決意した。そんな栄祐様が、兄の死についてなんらかの鍵を握っていると睨んでいたのが光琳学士院だったのです」

 玲燕は伏せていた目線を上げ、天佑を見つめる。

「あなたは兄である甘天佑の無念を打とうと決意していた。だから、鬼火事件に際して潤王から錬金術師を捜してくるように依頼されて私と会ったとき、私を利用できると判断した」

 玲燕は天佑に出会った日のことを思い返す。

『果たしたい目的があるならば、使える手段は全て使え。それが賢い者のやり方だ』

 これは天佑が玲燕に言った言葉だ。だが同時に、彼は自分自身にそう言っていたのだ。

 李空は既に先日の鬼火の事件に絡み、解決できる事件を解決できないと虚偽の証言をした罪に問われている。この事件まで明るみに出れば、処刑は免れないだろう。