昨日事件の真相を見抜いた玲燕は、天佑に頼んで一通りの証言取りをした。その結果は全て、玲燕の推理を売らづけるものだった。

「なっ!」

 冷ややかな表情のまま玲燕が聞き返すと、黄連泊は怯んだように目を見開く。

「黄。そなたの負けだ」

 玲燕と黄連泊の様子を眺めていた潤王は、片手を上げる。

「その者を捕らえよ」

 潤王の命令で、黄連泊が衛士達に取り押さえられる。黄連泊は潤王を見上げ、観念したように肩を落とした。
両脇を抱えられて連行されてゆく黄連泊は、ふと玲燕に目を向けた。

「私にとっての一番の想定外は、お前のような女が妃に迎えられたことだ」

 悔しげに口元をゆがめた黄連泊は聞き取れるか聞き取れないかのぎりぎりの声で、そう言った。
 半ば引きずられるように歩くその後ろ姿を、玲燕はいつまでも見つめた。


   ◇ ◇ ◇


 昨日は怒濤の一日だった。
 最初は容疑を否定していた黄連泊だったが、様々な状況証拠や証言が出てくるにつれて言い逃れができないと判断したのか、今は黙秘をしているという。

「待たせたな。細々とした雑務に追われていた」