「方法は至って簡単です。ちょうど予定されていた輪軸の工事の際、工事の者の不手際を批難して工事する者を自分の息のかかった者に変える。そして、なんら疑われることなく関係者を桃林殿に入り込ませる機会を得ることに成功した。あとは、輪軸の交換のために桃林殿を訪れる工事の者に氷を持たせ、それを井戸の中に落とすように伝えるだけです。氷にしたのは、輪軸の工事の時間と井戸の水を飲んで死ぬ時間をできるだけ離したかったからでしょう。氷の中に砒霜を入れれば、溶けるまで時間を稼ぐことができますから」

「非常に面白い推理だが、お前が言っていることは全て推測の域を出ない。何を以て、そのようなことを言っているのか」

 黄連泊は話にならないと言いたげに、手を振る。

「証人ならおります。輪軸の工事をした者が、黄様より氷を持たされたと言っておりました。それに、昨晩翠蘭のところに確認に行っていただきました。『陛下の酒が減っているようだ』と黄様から言われたと証言しています。あとは……梅妃様の診察をした医師の証言も必要ですか?」