「だから何度も言うとおり、水を飲んだら突然苦しみだしたのです。今朝のことです」
女官が涙ながらにそう言っているのが聞こえた。
(水を飲んだら苦しみだした? 毒ってこと?)
「その水は、どこの水です?」
玲燕は思わず、横から口を挟む。
「なんだ、お前は?」
衛士のひとりが怪訝な顔をして追い払おうとしてきたが、宦官姿の天佑が「このお方は菊妃様だ」と言うと黙る。
「井戸の水です。そこの」
女官が庭園の一角を指さす。そこには、彼女の言うとおり井戸があった。
「他にこの井戸の水を飲んだ方は?」
「今朝はいません」
「昨日はいた?」
「はい。昨晩は多くの者が飲んでおりました。昨日、輪軸が新しくなったので水を汲み上げるのが楽になったと皆で話しながら飲みました。私もその場にいました」
女官がこくこくと頷く。
「となると、昨晩、桃林殿の者達が寝静まったあとに何者かによって毒が混入されたということか?」
横で一緒に話を聞いていた天佑が唸る。
「昨晩、不審者は?」
天佑は衛士に問う。
「誰もおりませんでした」
女官が涙ながらにそう言っているのが聞こえた。
(水を飲んだら苦しみだした? 毒ってこと?)
「その水は、どこの水です?」
玲燕は思わず、横から口を挟む。
「なんだ、お前は?」
衛士のひとりが怪訝な顔をして追い払おうとしてきたが、宦官姿の天佑が「このお方は菊妃様だ」と言うと黙る。
「井戸の水です。そこの」
女官が庭園の一角を指さす。そこには、彼女の言うとおり井戸があった。
「他にこの井戸の水を飲んだ方は?」
「今朝はいません」
「昨日はいた?」
「はい。昨晩は多くの者が飲んでおりました。昨日、輪軸が新しくなったので水を汲み上げるのが楽になったと皆で話しながら飲みました。私もその場にいました」
女官がこくこくと頷く。
「となると、昨晩、桃林殿の者達が寝静まったあとに何者かによって毒が混入されたということか?」
横で一緒に話を聞いていた天佑が唸る。
「昨晩、不審者は?」
天佑は衛士に問う。
「誰もおりませんでした」