潤王の居室は常に快適な状態に整えられているので、こんなに冷え込んでいるとは気づかなかった。
白い息を吐き、階段の下へ視線を移す。
階段の下に人影があった。その背格好に見覚えがあり、玲燕は目を凝らした。
「天佑様?」
そう言ってから、ハッとして口元を押さえる。
幞頭を被って袍服を来た姿は、甘栄祐として宦官のふりをしているときの格好だ。
「こんな寒い中、どうされたのですか?」
「そろそろ、玲燕が戻る頃だと思ったから」
椅子に腰を掛けて空を眺めていた天佑は、玲燕が来たことに気付くと柔らかく微笑んで立ち上がる。
「今宵は冷えますね」
「そうだな。寒の戻りで、明日の朝は井戸が薄く凍っているかもしれない」
「本当に」
「寒いからか、今日は星がよく見えた」
天祐は夜空を見上げる。
「待ちながら、星を見ていたのですか?」
「ああ」
玲燕も夜空を見上げた。
「天球には千五百六十五の星がございますから」
「千五百六十五? そんなにか」
感嘆したように、天佑は目を細める。
「天文図があれば、どこにどの星座があるかわかるのですが」
白い息を吐き、階段の下へ視線を移す。
階段の下に人影があった。その背格好に見覚えがあり、玲燕は目を凝らした。
「天佑様?」
そう言ってから、ハッとして口元を押さえる。
幞頭を被って袍服を来た姿は、甘栄祐として宦官のふりをしているときの格好だ。
「こんな寒い中、どうされたのですか?」
「そろそろ、玲燕が戻る頃だと思ったから」
椅子に腰を掛けて空を眺めていた天佑は、玲燕が来たことに気付くと柔らかく微笑んで立ち上がる。
「今宵は冷えますね」
「そうだな。寒の戻りで、明日の朝は井戸が薄く凍っているかもしれない」
「本当に」
「寒いからか、今日は星がよく見えた」
天祐は夜空を見上げる。
「待ちながら、星を見ていたのですか?」
「ああ」
玲燕も夜空を見上げた。
「天球には千五百六十五の星がございますから」
「千五百六十五? そんなにか」
感嘆したように、天佑は目を細める。
「天文図があれば、どこにどの星座があるかわかるのですが」