玲燕はそう判断すると、そっとその場を離れて菊花殿へと戻っていった。
菊花殿に戻ると、鈴々から「早かったですね」と声をかけられた。
「うん。人がいたから戻ってきたの」
「さようですか」
鈴々は頷く。
「先ほど内侍省で甘様より言付けをを預かってきました」
「天佑様から? 一体何を?」
「『倉庫には誰も出入りしていなかった』と」
聞いてすぐに、先日毒物混入の際に使用された銀杯を見せてもらった際に、倉庫に出入りした人の情報がのほしいと願い出た件の回答だと気付く。
天佑は早速それを調べてくれたのだろう。
(うーん。誰もいない……。例外は天佑様くらいね)
あの倉庫に保管されていた銀杯はふたつ。ひとつはしっかりと銀杯が変色して砒霜混入の明らかな特徴が見られたのに、もうひとつはその形跡が一切見られなかった。
玲燕はあそこに置かれていた銀杯は毒物が入ったものではないと判断した。その判断が間違っていた?
「あー。わからないことだらけだわ」
玲燕は両手で顔を覆い、椅子の背もたれに背を預けて天を仰ぐ。
菊花殿に戻ると、鈴々から「早かったですね」と声をかけられた。
「うん。人がいたから戻ってきたの」
「さようですか」
鈴々は頷く。
「先ほど内侍省で甘様より言付けをを預かってきました」
「天佑様から? 一体何を?」
「『倉庫には誰も出入りしていなかった』と」
聞いてすぐに、先日毒物混入の際に使用された銀杯を見せてもらった際に、倉庫に出入りした人の情報がのほしいと願い出た件の回答だと気付く。
天佑は早速それを調べてくれたのだろう。
(うーん。誰もいない……。例外は天佑様くらいね)
あの倉庫に保管されていた銀杯はふたつ。ひとつはしっかりと銀杯が変色して砒霜混入の明らかな特徴が見られたのに、もうひとつはその形跡が一切見られなかった。
玲燕はあそこに置かれていた銀杯は毒物が入ったものではないと判断した。その判断が間違っていた?
「あー。わからないことだらけだわ」
玲燕は両手で顔を覆い、椅子の背もたれに背を預けて天を仰ぐ。