「鈴々。少し留守にするわ」
「はい。承知しました」
すっかり慣れてしまったようで、鈴々は笑顔で玲燕を送り出してくれた。
玲燕は秘密通路を通り、こっそりと光琳学士院の書庫へと忍び込む。いつもと同じ、古い紙や竹、それに墨の匂いが鼻孔をくすぐる。
「今日は何を読もうかしら?」
こんなにたくさんの書物を読み放題になったことは初めてなので、目移りしてしまう。書架を眺めたり、たまたま目に付いた竹簡を見たりしていた玲燕は、ふと目を留めた。
「これは、光琳学士院に相談された案件の記録ね?」
光琳学士院は、様々な学術的な相談を受ける。表紙に年号が書かれたその書物は、年ごとにどんな依頼を受けたかを子細に記録してあった。
興味が湧いて、玲燕はその表紙を捲る。依頼を受けた案件の内容と共に、この案件を受けた日や光琳学士院の誰が担当したかなどが記載されていた。
「どれどれ……」
最初に目に入った相談は移動に使用される馬具を、より馬に負担を掛けずに効率的に力を伝達するものに改良できないかという相談だった。
「へえ」
読んでいて、思わず感嘆の声が漏れる。
「はい。承知しました」
すっかり慣れてしまったようで、鈴々は笑顔で玲燕を送り出してくれた。
玲燕は秘密通路を通り、こっそりと光琳学士院の書庫へと忍び込む。いつもと同じ、古い紙や竹、それに墨の匂いが鼻孔をくすぐる。
「今日は何を読もうかしら?」
こんなにたくさんの書物を読み放題になったことは初めてなので、目移りしてしまう。書架を眺めたり、たまたま目に付いた竹簡を見たりしていた玲燕は、ふと目を留めた。
「これは、光琳学士院に相談された案件の記録ね?」
光琳学士院は、様々な学術的な相談を受ける。表紙に年号が書かれたその書物は、年ごとにどんな依頼を受けたかを子細に記録してあった。
興味が湧いて、玲燕はその表紙を捲る。依頼を受けた案件の内容と共に、この案件を受けた日や光琳学士院の誰が担当したかなどが記載されていた。
「どれどれ……」
最初に目に入った相談は移動に使用される馬具を、より馬に負担を掛けずに効率的に力を伝達するものに改良できないかという相談だった。
「へえ」
読んでいて、思わず感嘆の声が漏れる。