玲燕は蘭妃が気をつかわないように、自分から暇(いとま)を申し出た。すると、蓮妃もその意図を汲み取ったようで「そういえば、今日は雪と約束があったような──」と言って立ち上がる。
「おふたりとも、申し訳ございません」
蘭妃は恐縮したように身を縮める。
「いえ、気になさらないでください。楽しかったです」
玲燕と蓮妃は微笑み、それぞれの殿舎へと戻ることにした。
回廊を歩いていると、前方から盆に茶菓を載せてを運んでいる女官が近づいてくるのが見えた。自身の殿舎へと、主の茶菓を運んでいるのだろう。
(もう、そんな時間なのね)
今さっき蘭妃にお茶と菓子をしたばかりなのだけど、それでも今日のおやつはなんだろうとわくわくしてしまう。すれ違いざまちらりとのぞき見ると、柑橘を切ったものが載せられいる。
ひらりと揺れる女官の裙の裾に、桜の刺繍が見える。
(柑橘! さっぱりしていてちょうどいいわ)
菊花殿に戻ると、今まさに茶菓を取りに行って戻ってきた鈴々と遭遇する。
「あら、玲燕様。ちょうどよかった」
鈴々は玲燕の顔を見るやいなや、笑顔を見せる。
「おふたりとも、申し訳ございません」
蘭妃は恐縮したように身を縮める。
「いえ、気になさらないでください。楽しかったです」
玲燕と蓮妃は微笑み、それぞれの殿舎へと戻ることにした。
回廊を歩いていると、前方から盆に茶菓を載せてを運んでいる女官が近づいてくるのが見えた。自身の殿舎へと、主の茶菓を運んでいるのだろう。
(もう、そんな時間なのね)
今さっき蘭妃にお茶と菓子をしたばかりなのだけど、それでも今日のおやつはなんだろうとわくわくしてしまう。すれ違いざまちらりとのぞき見ると、柑橘を切ったものが載せられいる。
ひらりと揺れる女官の裙の裾に、桜の刺繍が見える。
(柑橘! さっぱりしていてちょうどいいわ)
菊花殿に戻ると、今まさに茶菓を取りに行って戻ってきた鈴々と遭遇する。
「あら、玲燕様。ちょうどよかった」
鈴々は玲燕の顔を見るやいなや、笑顔を見せる。