玲燕は入り口にかかっていた鍵を見る。鉄製のしっかりした物で、そう簡単には壊れそうにない。
(その、ごく限られた関係者がすり替えたってこと?)
一体誰が、なんのために?
謎を解くはずが新たな謎に直面し、玲燕は戸惑う。
「ここの鍵を借りた者を調べていただいてもいいでしょうか?」
「もちろんだ。すぐに作成する」
天佑は頷く。
玲燕はもう一度、ふたつの酒杯を見た。
何か重大な事実を見逃しているような気がしてならなかった。
倉庫を出ると、天佑に「そろそろ午後の茶菓が届く時間だが、執務室に寄っていくか?」と聞かれた。
「茶菓? 是非!」
後宮で出される茶菓も美味しいが、皇城で高位官吏達に出される茶菓もとても美味しいのだ。
目を輝かせる玲燕を見て、天佑は頬を緩める。
「玲燕は、最初に比べて表情豊かになったな」
「……そうですか?」
「全く笑わなかった」
「…………」
そうだろうか。そうだったかもしれない。
天佑に出会ったあの頃は、頼れる人もなく、信じているものを周りからまがい物だと言われ、お金もなく、色々な物に諦めの気持ちを持っていたから。
(その、ごく限られた関係者がすり替えたってこと?)
一体誰が、なんのために?
謎を解くはずが新たな謎に直面し、玲燕は戸惑う。
「ここの鍵を借りた者を調べていただいてもいいでしょうか?」
「もちろんだ。すぐに作成する」
天佑は頷く。
玲燕はもう一度、ふたつの酒杯を見た。
何か重大な事実を見逃しているような気がしてならなかった。
倉庫を出ると、天佑に「そろそろ午後の茶菓が届く時間だが、執務室に寄っていくか?」と聞かれた。
「茶菓? 是非!」
後宮で出される茶菓も美味しいが、皇城で高位官吏達に出される茶菓もとても美味しいのだ。
目を輝かせる玲燕を見て、天佑は頬を緩める。
「玲燕は、最初に比べて表情豊かになったな」
「……そうですか?」
「全く笑わなかった」
「…………」
そうだろうか。そうだったかもしれない。
天佑に出会ったあの頃は、頼れる人もなく、信じているものを周りからまがい物だと言われ、お金もなく、色々な物に諦めの気持ちを持っていたから。