「先ほど菊花殿に行ったら、鈴々が『玲燕様はとっくのとうにそちらに向かいました』と言っていた」
「……申し訳ございません。ここは光琳学士院の古い書物もたくさんあるので、つい興味がわいてしまいまして」
玲燕がある程度の時間ここにいたことを、天佑はお見通しのようだ。玲燕が肩を竦めると、天佑はやれやれとでも言いたげに息を吐いた。
「それで、何か面白いものはあったか?」
「先ほど、からくり人形の設計図が載った書物がございました。あれ一冊でも、ものすごい価値のあるものです」
玲燕は胸の前で手を握り、興奮気味に力説する。すると天佑は目をぱちくりとさせ、くくっと笑った。
「そうか。気に入ったなら、好きに読むといい」
「え? よいのですか?」
「ああ。人に見られないように、こっそりと持ち出せよ」
その瞬間、玲燕はぱあっと表情を明るくする。
「ありがとうございます!」
こんなお宝の数々が読み放題だなんて、どんなご褒美だろうか。いつもはさっさと事件を解決して家に帰ろうとばかり思っているのに、今日ばかりはこのままここにいてもいいかもしれないと思ってしまう。
「……申し訳ございません。ここは光琳学士院の古い書物もたくさんあるので、つい興味がわいてしまいまして」
玲燕がある程度の時間ここにいたことを、天佑はお見通しのようだ。玲燕が肩を竦めると、天佑はやれやれとでも言いたげに息を吐いた。
「それで、何か面白いものはあったか?」
「先ほど、からくり人形の設計図が載った書物がございました。あれ一冊でも、ものすごい価値のあるものです」
玲燕は胸の前で手を握り、興奮気味に力説する。すると天佑は目をぱちくりとさせ、くくっと笑った。
「そうか。気に入ったなら、好きに読むといい」
「え? よいのですか?」
「ああ。人に見られないように、こっそりと持ち出せよ」
その瞬間、玲燕はぱあっと表情を明るくする。
「ありがとうございます!」
こんなお宝の数々が読み放題だなんて、どんなご褒美だろうか。いつもはさっさと事件を解決して家に帰ろうとばかり思っているのに、今日ばかりはこのままここにいてもいいかもしれないと思ってしまう。