容は穀物をひとつまみ、手のひらに載せてじっくりと眺める。綺麗にもみ殻が取れて、実だけが残っている。

「……それにしても、本当に綺麗に仕分けられるのねえ」
「すごいでしょう? だって私、お父様の一番弟子だもの。将来は錬金術師になるわ」
「錬金術師?」
「ええ。お父様と同じ、天嶮学士になるの」

 玲燕は胸を張って得意げに答える。
 ふと空を見上げると、特徴的な雲が浮いているのが見えた。

「あ。おぼろ雲だわ」
「本当ですね」

 容も釣られるように、空を見上げる。
 玲燕は以前、父からおぼろ雲は秋の雲なのだと教えてもらったことを思い出す。
 雲の合間からは、夕焼けで赤く染まった空が見えた。