「天佑様。きちんと話していただかないと、犯人を捜すこともできません。どうして桃妃様は絶対に糸を引いていないと言い切れるのです?」
知らず知らずのうちに、口調がきつくなる。天佑は苦しげに口元を歪めた。
「それは言えない。ただ、桃妃様は背後で糸を引いたりはしない。それは確かなのだ」
「それでは話になりません」
玲燕は首を振る。
「雪がひどいので、今日はもうお帰りください。明日の昼頃、私が訪ねます」
「……そうだな」
はあっとため息をついた天佑は、立ち上がると出口へと向かう。ぴしゃりと音を立てて、入り口の戸が閉じられた。
足音が遠ざかり、部屋の中に静謐が訪れる。
シーンと静まりかえった部屋が妙に物寂しく感じるのは、この寒さのせいだろうか。
◇ ◇ ◇
翌日は、昨日とは打って変わって快晴だった。朝には薄らと積もっていた雪も、昼前に溶けて消えた。
玲燕は袍服に身を包むと久しぶりに秘密通路を使って後宮を抜け出した。
「よいしょっと」
知らず知らずのうちに、口調がきつくなる。天佑は苦しげに口元を歪めた。
「それは言えない。ただ、桃妃様は背後で糸を引いたりはしない。それは確かなのだ」
「それでは話になりません」
玲燕は首を振る。
「雪がひどいので、今日はもうお帰りください。明日の昼頃、私が訪ねます」
「……そうだな」
はあっとため息をついた天佑は、立ち上がると出口へと向かう。ぴしゃりと音を立てて、入り口の戸が閉じられた。
足音が遠ざかり、部屋の中に静謐が訪れる。
シーンと静まりかえった部屋が妙に物寂しく感じるのは、この寒さのせいだろうか。
◇ ◇ ◇
翌日は、昨日とは打って変わって快晴だった。朝には薄らと積もっていた雪も、昼前に溶けて消えた。
玲燕は袍服に身を包むと久しぶりに秘密通路を使って後宮を抜け出した。
「よいしょっと」