「本当に戻るのか?」
「ええ。動物達が心配ですし」
「きっちり世話を頼んであるから、心配することないのに」
「でも、ずっと任せっきりというわけにはいきません」
「玲燕には大明にいてほしいのだが」
「また何かあればご相談にお越し下さい。あの地をすぐに動く気もありません」

 家に戻るという玲燕の意思が固いことを見て取ると、天佑は残念そうに眉尻を下げた。

「そういう意味ではないのだがな」
「はい?」
「……いや、なんでもない。英明様と鈴々も寂しくなると悲しんでいた」

 天佑は懐から鮮やかな織物でできた小袋を取り出すと、それを玲燕に手渡す。
 玲燕はそれを受け取ると、その場で開けた。中からは金貨がバラバラと落ちる。今回の件の報酬だ。

「こんなにたくさん頂いてよろしいのですか? 棒禄もいただいていたのに」
「もちろんだ。英明様もとても助かったと言っていた。見事な推理だった」
「お役に立てて光栄です。最後、鬼火の犯行は別の家門がそれぞれ別に行っていると気づけてよかったです」

 玲燕は微笑む。