「菊妃よ。そなたはなぜだと思う?」
潤王の呼びかけに周囲からどよめきが起きる。「あれが菊妃なのか?」「女官かと思った」という声がそこかしこから聞こえてきた。
「はい。それは、鬼火を起こす人間が宮城に立ち入ることができないからでございます」
辺りがさざめく。
「あれは人の仕業なのか」
「天帝の怒りではないのか」
どよめく周囲の人々を、潤王は片手を上げて制する。
「では菊妃よ。説明してくれるか?」
「はい。まずはこれをご覧下さい。まだ日がある故、見にくいかもしれませんが──」
玲燕は懐からあらかじめ用意していた棒を取り出す。鬼火が見られた場所で見つかった棒と同じ細工をしたものだ。玲燕は、それに火をを付ける。
「なんと、鬼火だ!」
観覧席にいた誰かが叫ぶ。
ぼわっと音を立てて燃えたそれは、緑色の光を放っていた。
周囲の人々が「どういうことだ」と騒ぎ出す。
「こちらは、ごく簡単な自然の原理を利用したものです。皇帝陛下を陥れようとしていた人間が、鬼火による騒ぎ、即ち天帝の怒りであると見せかけて、陛下の地盤にひびを入れようとしたのです」
潤王の呼びかけに周囲からどよめきが起きる。「あれが菊妃なのか?」「女官かと思った」という声がそこかしこから聞こえてきた。
「はい。それは、鬼火を起こす人間が宮城に立ち入ることができないからでございます」
辺りがさざめく。
「あれは人の仕業なのか」
「天帝の怒りではないのか」
どよめく周囲の人々を、潤王は片手を上げて制する。
「では菊妃よ。説明してくれるか?」
「はい。まずはこれをご覧下さい。まだ日がある故、見にくいかもしれませんが──」
玲燕は懐からあらかじめ用意していた棒を取り出す。鬼火が見られた場所で見つかった棒と同じ細工をしたものだ。玲燕は、それに火をを付ける。
「なんと、鬼火だ!」
観覧席にいた誰かが叫ぶ。
ぼわっと音を立てて燃えたそれは、緑色の光を放っていた。
周囲の人々が「どういうことだ」と騒ぎ出す。
「こちらは、ごく簡単な自然の原理を利用したものです。皇帝陛下を陥れようとしていた人間が、鬼火による騒ぎ、即ち天帝の怒りであると見せかけて、陛下の地盤にひびを入れようとしたのです」