天佑は頷く。現時点のトップは黄家と高家で、共に百三十斤だ。その次が秀家の百斤となっている。

「最後は玲燕ではなかったか?」
「はい、そうです」

 天佑は頷く。

「冗談かと思えば、本当に自分が出場するとはな。つくづく面白い奴だ。皆、おかしな女官が紛れ込んでいると思い込んでいる」

 潤王は肩を揺らしくくっと笑う。

(本当に大丈夫なのだろうな?)

 天佑は中庭の端で準備をしている玲燕を見つめた。
 玲燕は今日、自ら手を挙げてここに参戦している。本人は大丈夫だと言うが、屈強な男達に交じったその姿は子供のようにすら見えた。

「ところで、先ほどからあいつは何をしているんだ?」
「わかりません」

 潤王に尋ねられ、天佑は首を横に振る。

 玲燕のすぐ横には、紐が繋がった大きな盥と、鉄の骨組みに歯車がいくつも組み合わさった奇妙な滑車付きの構造物が置かれていた。井戸の滑車に似ているが、少し違うように見える。
玲燕はそのバケツの大きい方に、黙々と重りを積んでいた。重いのか、基準となる十斤の重りひとつでふらふらしている始末だ。

「手伝って参ります」