劉家は娘を先帝に嫁がせており、子供がひとりいる。しかし、潤王の腹違いの弟に当たるその子はまだ十歳にもなっておらず、皇帝の座は潤王のものになった。玲燕が最も直接会ってみたいと思っていた人物のひとりだが、残念ながら今に至るまで会えていない。

「潤王を失脚させて、次の皇位継承者は劉家の娘が産んだ子供にするため?」
「そのとおりだ。陛下にはまだお世継ぎがいらっしゃらない。あやかし騒ぎを起こすのに十分な理由だろう?」

 玲燕は天佑が調べた書類を捲る。
 劉家は鋳鉄の鉱炉に投資を行い多額の富を得ており、懇意にしている錬金術師も多いようだ。玲燕が明らかにした鬼火の原理を知っているものがいたとしても不思議ではない。

「それで、調査した結果はどうだったのですか?」
「部下に極秘に劉家を調査させた結果、劉家を出入りする錬金術師の姿と、その錬金術師が夜更けに怪しげな行動をしている現場を取り押さえた。取り押さえの表向きの罪状は、放火だ」
「では、犯人はもう捕まっているではないですか?」