「残念ながら、それは無理です」
「……そう。あなたをもってしても無理なのね」
蘭妃はあからさまにがっかりしたような顔をする。
「しかし、その勝負には私が参戦しましょう」
「菊妃様が? 甘家が出場するってこと?」
蘭妃は目を丸くして興味深げに身を乗り出した。
後宮入りにあたり、玲燕は表向きは『天佑にゆかりの者』ということになっている。なので、蘭妃は玲燕の『私が参戦しましょう』という言葉を『甘家の参加』と考えたのだろう。
「ええ、そうです。ところで、勝負の内容は『誰が一番重い重りを持ち上げられるか』で間違いないですね?」
玲燕は蘭妃に念押しする。
「そうよ」
蘭妃は玲燕に見せるように、もう一度先ほどの案内を差し出す。
「かしこまりました。では、黄家の優勝阻止はお任せ下さい。このお触れは少しの間お借りしても?」
「構わないわ」
蘭妃は頷く。
玲燕はお触れの紙を蘭妃から受け取ると、それを懐にしまった。
「蘭妃様はよく金と鍍金の違いをご存じでしたね。蘭妃様のご実家は、冶金産業に関わっているのですか?」
「……そう。あなたをもってしても無理なのね」
蘭妃はあからさまにがっかりしたような顔をする。
「しかし、その勝負には私が参戦しましょう」
「菊妃様が? 甘家が出場するってこと?」
蘭妃は目を丸くして興味深げに身を乗り出した。
後宮入りにあたり、玲燕は表向きは『天佑にゆかりの者』ということになっている。なので、蘭妃は玲燕の『私が参戦しましょう』という言葉を『甘家の参加』と考えたのだろう。
「ええ、そうです。ところで、勝負の内容は『誰が一番重い重りを持ち上げられるか』で間違いないですね?」
玲燕は蘭妃に念押しする。
「そうよ」
蘭妃は玲燕に見せるように、もう一度先ほどの案内を差し出す。
「かしこまりました。では、黄家の優勝阻止はお任せ下さい。このお触れは少しの間お借りしても?」
「構わないわ」
蘭妃は頷く。
玲燕はお触れの紙を蘭妃から受け取ると、それを懐にしまった。
「蘭妃様はよく金と鍍金の違いをご存じでしたね。蘭妃様のご実家は、冶金産業に関わっているのですか?」