鍍金とは、金ではない金属に金の薄膜を被膜することにより、本物の金のように見せる技術だ。一見すると本物の金と鍍金は見分けが付かないが、中身は金ではないので価値は全く違う。

 蘭妃の差し出した盆には四つ、髪に飾る装飾品が置かれていた。一見するとどれも金色に輝いており、本物の金に見える。

「触ってもよろしいですか?」
「ええ、どうぞ」

 蘭妃が頷いたので、玲燕は盆から髪飾りを一つひとつ、順番に手に取る。どれも細かな工芸が施こされており、かなり高価な品だろうと予想が付いた。

(見た目の色合いはどれも同じね)

 一般的には金と鍍金を見比べると僅かに色合いが異なる。しかし、これらは見る限り、どれも同じに見えた。それだけ高い技術を持って鍍金されたということだ。

(削ればすぐわかるけど……)

 鍍金はある金属の表面に金の被膜を張っているだけなので、少し削ればすぐにどれが鍍金わかる。しかし、蘭妃の持ち物を傷を付けるのはまずいだろう。
 となると、次に考えられる鑑定方法は金属の比重を比較して誤差を鑑定する手法だ。