◆ 第四章 真相


 廊下を歩きながら、玲燕は身に覚えのない呼び出しに困惑していた。一度も交流したことがない蘭妃が、玲燕に会いたいと言っているというのだ。

「一体何の用かしら?」
「さあ? 私にはわかりません」

 言付けを預かった鈴々に聞いても、首を傾げるだけだ。

 蘭妃がいる香蘭殿(こうらんでん)に向かう最中、長い回廊を歩きながら理由を考える。
 しかし、一切思い当たることがない。

 香蘭殿の手前には、美しく手入れのされた庭園が見えた。