「ゆらゆらと揺れる鬼火は、流れるように移動する鬼火と同じく水辺で見られましたが、違うこともありました」
「違うこととは?」
「ゆらゆらと揺れる鬼火の際は、いつも簡単には鬼火の方向に近づけない構造の場所で見られていたのです。ほら、天佑様が連れて行ってくれた皇城の場所もそうだったではありませんか。つまり、ゆらゆらと揺れる鬼火の下にはいつも凧の操者がいたのです。そのため、近づかれると人がやっていると気付かれてしまうため、そのような場所にしていたのです」

 玲燕からそう指摘され、天佑は鬼火を見た現場のことを思い出す。確かに、どの場所も近くに橋がなく、鬼火に近づけない構造をしていた。

「相変わらず、見事な謎解きだな」
「ありがとうございます」

 天佑が感嘆の声を漏らし手を叩くと、玲燕は嬉しそうにはにかむ。

「天佑様と猫に驚かされたときに解決の糸口を得ました。凧を揚げたタイミングで鬼火の火が消えてしまわないように調整するのが手間取って、時間がかかってしまいました」
「それにしても見事だ。なにせ、皇都の錬金術師は皆お手上げだと言ったのだから」

 天佑は重ねて玲燕を褒め称える。