桃妃は玲燕を見つめにこりと微笑む。
(元気のよい新入り女官?)
玲燕のいる菊花殿に、女官はひとりしかいない。鈴々だ。
どちらかというとどっしりと落ち着いている鈴々を『元気のよい新入り女官』とは言わない気がするから、それはきっと玲燕のことだろう。
玲燕は「まあ、そうですね」と笑って、その話題をやり過ごす。
「茘枝はお気に召していただけたかしら?」
「はい、とても」
「よかった。茘枝は陛下がお好きだから、わざわざ実家から木を持ってきたの」
「そうだったのですね」
桃林殿の茘枝の木を見たことはないが、玲燕が知る一般的な茘枝の木と似たようなものであればそれなりの大きさだ。
入宮に際し、一体何を思って桃妃はこれを実家から運ばせたのだろう。そこには、潤王への愛情があるように思えた。
「……陛下は少年時代、桃妃様のご実家に身を寄せていらしたのですよね?」
「ええ、そうよ」
頷く桃妃は何かを思い出したように、目を瞬いて玲燕を見つめた。
「そういえば、菊妃様は甘家のゆかりと聞いたのだけど……」
「はい。さようでございます」
玲燕は頷く。
(元気のよい新入り女官?)
玲燕のいる菊花殿に、女官はひとりしかいない。鈴々だ。
どちらかというとどっしりと落ち着いている鈴々を『元気のよい新入り女官』とは言わない気がするから、それはきっと玲燕のことだろう。
玲燕は「まあ、そうですね」と笑って、その話題をやり過ごす。
「茘枝はお気に召していただけたかしら?」
「はい、とても」
「よかった。茘枝は陛下がお好きだから、わざわざ実家から木を持ってきたの」
「そうだったのですね」
桃林殿の茘枝の木を見たことはないが、玲燕が知る一般的な茘枝の木と似たようなものであればそれなりの大きさだ。
入宮に際し、一体何を思って桃妃はこれを実家から運ばせたのだろう。そこには、潤王への愛情があるように思えた。
「……陛下は少年時代、桃妃様のご実家に身を寄せていらしたのですよね?」
「ええ、そうよ」
頷く桃妃は何かを思い出したように、目を瞬いて玲燕を見つめた。
「そういえば、菊妃様は甘家のゆかりと聞いたのだけど……」
「はい。さようでございます」
玲燕は頷く。