「それが証明されてしまっては……ある恋人たちの未来が、ないものになってしまうんです。ずっと、一緒にいられないような結果が、出てしまって」
「…………流夜くんと、咲桜さんね?」
「……………はい。相変わらず貴女方はなんでもお見通しですね」
「今の流れからすると、そう考えるよ。流夜くんと咲桜さんに、血縁関係が認められたと、そういうこと?」
「………はい。それも最悪なんですが、もっと最悪があるんです」
「……もっと?」
「―――琉奏!」
「ちょ、ふゆ! 病院で大声ダメ!」
「うっさいバカ。琉奏、どういうこと? 尊さんに何を話してるの?」
「春芽、腕痛い」
「じゃあさっさと答えろよ」
「……嫌だ。お前たちには言いたくない」
「ああそうだろうね。流夜を不幸にする話なんて聞きたくないよ。でも、聞いた上で流夜に知られないように処理することも出来る。もしお前が、抱えてしまって悩んでいるのなら僕らに話して楽になってしまえ。そうして、流夜と咲桜ちゃんには悟られるな」
「……………。……二十五年前の、事件、そこに残された二つの検体と、………咲桜さんとの間に、親子関係が証明された」
「二つの検体? 誰と、誰だ」
「……一つは、……………神宮美流子さん、だ」
「―――――――――――――――」
「は? 何、言ってんだよ琉奏。咲桜ちゃんの母親は、桃子さんって言うんだろ?」
「雲居。お前が察していないわけがないのはわかってるよ。わざと、言ってくれてるってことくらい……」
「いや、まさかまさか、あり得ねえよ。――――なあ、琉奏!」