「そ。お互い休みなかなか合わないからさー」
「へー。仲好さそうで何より。あんたら忙しいにもほどが
『キャーッ‼』
つんざくように轟いた悲鳴に、衛さんと尊さんはさっと顔色を変えた。途端、叫び声や走り出す人の波が生まれた。
「尊!」
衛さんと尊さんがすぐさま声の方へ駆け出し、その後を遙音先輩が追った。私と笑満も反射的に先輩を追う。
「―――っら! 暴れんな! 凶器所持、現行犯逮捕!」
人並みが終わって拓けた視界で、うつ伏せにされた男の背中に膝を置いて腕を捩じりあげ拘束した衛さんがいた。
少しだけ離れた場所では、座り込む女性を支える尊さんも。
「遙音!」
「っ!」
衛さんに呼ばれて、先輩も暴れる男の拘束に加わる。
「衛くん、救急車呼びます! 彼女への聴取は回復を待ってください」
「わかった。――やっと来たか」
駆けつけた交番の警官が加わって、規制が始まる。私と笑満は尊さんに支えらえた女性の方へ駆け寄る。
「尊さん、何か出来ることは」
問うと、尊さんは鋭い眼差しで肯いた。
「咲桜さん、彼女を支えてあげてて。出来るだけ動かさないように。笑満さん、手を握っててあげて。圧迫はしないように。処置はわたしがします。救急車、今来ますから」
尊さんがバッグの中から大きなタオルやらを取り出していると、先輩がやってきた。
「笑満ちゃん、俺、衛さんと一緒に行くから、尊さんに付き添ってあげてもらってもいい?」
「わかった。気を付けてね」
「ん。咲桜も、頼んだよ」
「はい」
私たちが肯くと、先輩はすぐに戻って行った。