「あー、笑満ちゃん、咲桜。榊原衛(さかきばら まもる)さんと、草賀尊(くさか みこと)さん。笑満ちゃんは、蒼さんのことは知らないよね。衛さんたち十三人は桜学の初代Pクラスって言われてるんだ。神宮たちの一つ上の旧知で、神宮を桜学の教師に誘ったのは蒼さん。つーか神宮、衛さんたちに話してるなら言えっての」
先輩がぼやくと、衛さんはまた軽く笑った。
「それを自分で明かせ、が流夜たちの、遙音への教育方針だろ。甘えない」
「そうだけどさー」
先輩は不満顔を隠さない。
「んで、松生笑満ちゃんと、華取咲桜。まー……あんたらならどこまで知ってるかってハナシだけど」
「蒼くんからお名前だけは聞いてるよ。流夜くんの彼女と、遙音くんの彼女。草賀尊です。よろしくです」
「あ、よろしくお願いします」
「は、初めましてっ」
私と笑満は慌てて頭を下げる。
「衛さんは警視庁の刑事で、尊さんは医者だよ」
「えっ、じゃあマナさん――春芽愛子さんとかご存知ですか?」
警視庁と聞いて、私は大きく反応した。
「マナさん? ……って、春芽……さん?」
「はいっ。私のお母さん代わりの一人ですっ」
私が勢い込んだ瞳で言うと、衛さんと尊さんは刹那視線を凍らせた。
「そ、そうなんですか。……愛子さんがお母さん代わり……色々不安です……」
「うん。めちゃくちゃご存知ですね。あの人を知らないで生きてく方が無理だってくらいご存知です」
尊さんの視線が下に向かって、衛さんは真面目な声で返して来た。
? どうしたんだろう。私はクエスチョンマーク。
「今日は二人は? デート?」
先輩が言うと、衛さんが肯いた。