「どういうことですか、神宮先生」

校長室に呼び出された。

困惑を隠せない校長以下、教頭学年主任と雁首揃えている。

が、俺は表情を消し切った『神宮流夜』の顔で応じる。

「何を弁明すればよろしいでしょうか」

「警察どうのって、一体どういうことですか」

「学生の頃から捜査に口出させてもらっています。それだけです」

「なんでそんなことしてるんですか」

教頭の海彦が、やや怒ったように言った。

「家族皆殺しにされて警察と繋がりが出来て育ての親も警察関係の人でそのうち現場に関わるようになりました、というだけです」

『…………………………』

「あの、神宮さん、そういう話は抑えませんか?」

「訊かれたから答えただけですが」

朝間先生がやや蒼ざめた顔で言うも、俺は意に介さない。

「……ご家族、が……?」

稲葉先生がか細い声を挟む。

「はい。俺が生まれてすぐの事件です。ネットででも調べればすぐに出て来ますよ。俺も故意に隠したりはしていません」

「……その、何と言ったら………」

「何とも仰らなくて結構です。今になっては特に思うことないですから」

淡々と答えると、上司連中は本気で返す言葉がない。

特に思うことがない辺りが、俺の壊れ具合なのだろうけど。

「あれ? 今『神宮さん』て言いました? 朝間先生、知ってるんですか?」

「ええ。知ってるも何も、神宮さんは、私の幼馴染である人の、後継者の一人ですから」

「後継者の、ひとり?」

「はい。雲居くんと春芽くんと、三人、当代最高峰の刑事と謳われる方の、です」

朝間先生に追加説明されて、校長が唸った。

「……なんでそんな人が警察官にならなかったのですか?」