と、流夜くんがカウンターの中にいる降渡さんを指さした。
横顔だけ見える降渡さんは、にっこりと笑みだけを返す。
それでも笑満のご両親の混乱は収まらないようだ。お互いの顔を見合わせている。
「本日は、笑満さんの進路に関係してくる、この遙音のことでお話をしたくお呼びしました」
「……笑満とオト――遙音が付き合っていること、ですか?」
生満子さんの問いかけに、流夜くんはゆうるり首を横に振った。
「いいえ。遙音の選んだ道にいるのは私たちです。それについてです」
「……道?」
憲篤おじさんが不審げに言ったところで降渡さんから声がかかった。
「りゅう、遙音。座っていただいたらどうだ? 短く終わる話でもないだろう」
「そうだな――こちらへ」
流夜くんに導かれて、笑満のご両親はテーブル席につく。
遙音先輩は一人、椅子を持って来て通路の方へ坐った。
私たちの位置では笑満のご両親は背中を向けていて、どんな顔をしているかはわからなかった。
「あの……遙音とはどういう関係なんですか? 学校の先生と生徒、だけでこんなお話になるんですか?」
「そうですね――元を言えば、私たちが高校生で、遙音が小学生の頃からの知り合いです」
「オトが小学生? それで、……解決って?」
遙音先輩が口を開いた。
「現場に、来たんです。神宮と、あそこにいる雲居と、今は警官の春芽って奴の三人が。当時三人とも高校生でしたけど、既に警察に関わっていました。関わることを警察に認められてもいました。俺は――そのときどうしてかわからないんですけど、神宮たちに頼ったんです。それからすぐ、犯人は捕まりました。神宮、雲居、春芽が犯人を割り出して、確保までしてくれたんです」
生満子さんも憲篤おじさんも言葉はない。
微動だにしないことが、動揺している反応だと悟らせた。