「……頼。私はバカだから、お前の考えは言われなきゃわかんない。……言いたくないんならいいけど。お前を脅して訊き出す方を選ぶだけだから」
「あんな奴と話す理由は何」
「あ」
……そこか。頼の知らないところで交友関係が広がったとか思っているのか。それが気に喰わない幼馴染らしい。
「えーと、流夜くんのおと……………同業者の、彼氏みたい。流夜くんと喧嘩ばっかする人だから、その押さえ方を教えに来てくれたんだって」
説明された頼は胡乱な瞳で私を見て来た。
「……………同業者の彼氏? 同性愛者?」
「そんな冷めた目するな。同業者は女性だよ。流夜くんと同じ学者。アメリカ留学時代の知り合いなんだって」
頼でも、『流夜くんの同業者』イコール『女』とはすぐに思いつかない先入見があるようだ。
……更に中学生だって言ったらどうするだろう。司くんのこともなんかわかった風だけど、年下とは気付いているのかな。
「……ふーん。お仲間は咲桜の敵じゃないの?」
「いや、さっきの――司くんっていうらしいけど、あの人が彼氏だから。そういうの言うと怒られるから。流夜くんに」
「言って怒られたん?」
「……言って困らせた」
怒りはしなかったけど。……と言うか、流夜くんに怒られたことないかもしれない。いつも自分が癇癪起こして怒ってばかりで……大人の余裕か! 年の差が憎い!
「それよか頼、なんでここにいんの? 笑満連れて帰ってって言ったよね?」
「……笑満が、咲桜が何か企んでるから帰らんって言い張ってこっち来た。任務失敗。ごめん」
「……いや、謝ることじゃないよ」