消えた親友の姿。

どよめきと興奮した声でいっぱいになってしまった卒業式の終わり。

当事者の一角たるあたしと頼に話しかけたそうなクラスメイトたちは、まだ興奮収まりきらずに遠巻きだ。

「笑満ちゃん、俺もしようか?」

「なっ! そ、そういう影響は受けないでいいの!」

「じゃ、こっちで」

真赤になったあたしの腕を引いて、遙音くんはあたしの額に口づけた。そのまま頭を抱き込むようにして、宣言する。

「俺の嫁さんだから、誰も色目使わないよーに」

はっきりした言葉を聞いて、もう赤面するしかないみんな。

頼は一人シャッター切りまくっている。

一足先に校舎を出て振り返り、あたしと遙音くんにピントを合わせてきた。

「さ。俺らも行こ? 生満子さんたち待ってんだろ?」

あたしはカクカクした動作で頭を上下させた。

握られた遙音くんの手に引かれて、あたしたちは学校を卒業した。

桜の祝福を、一身に浴びながら。