数年ぶりに見るその姿に、呆然と突っ立った笑満を、しょうがないとばかりに迎えに来た遙音先輩とすれ違う。

私はその人の目前で止まり、右手を伸ばした。

頬。

消えない。触れた。

「――なんでいるの!」

怒鳴られても、流夜くんは動じなかった。

微苦笑を浮かべる。

「ただいま」

「おかえり! 来るなら言ってよ! 私もう、流夜くんが日本にいようが斎月みたいに外国行っちゃおうが追ってく覚悟で桜台に入るんだったんだからね⁉ 事務所に居つきませんって絆先輩も涼花さんも言いくるめるの大変だったんだから!」

「ごめん。少し驚かせようかと思ったんだけど……過ぎたな」

「わかってるなら一人でいなくならないでよ!」

「すまん。……追ってくって思ってくれてたんなら、彼氏いない?」

「当り前でしょう⁉ 私はなんかもう呪いみたいに流夜くんしかすきになれないってこの二年で証明されたよ!」

「そう。じゃあ」

言って、流夜くんは私の後ろ頭に手を置いて顔を寄せて来た。

ここは学校と学外の境目。今日は卒業式。辺りには卒業生や在校生、保護者であふれかえっている。

その中で、衆目で堂々とキスして見せた流夜くんに、周りはどよめきに包まれた。

遙音先輩は「あーあ」とため息をつく。

「………」

「約束を、果たしに来た」

突然のことに固まった私が抱き上げると、更に悲鳴があがった。

誰かが、私を待っていたのが誰か、以前見た顔だと気づき始めたようだ。