『……………え。………ええええええええええええええええ⁉』
《白》の屋根が吹っ飛ぶかと思う絶叫が轟いた。
「笑満まで驚くの?」
「な、なんかノリで!」
あまりの大音量に耳を塞いだ私に、笑満は慌てて言った。その隣の先輩は……
「………」
やばい。瞬きすらしていない。呼吸まで止まってないといいけど……。
斎月、今は私服なのだけど、制服という目印がないとやっぱり未成年には見えないよなあ。
と言うかそもそも、斎月はもう制服を持っていない。人のこと言えた私ではないけど。
「あららー。やっぱ斎月姫爆弾はでかすぎるって」
降渡さんが呆れ感満載で頬杖をつく。
「つまりは遙音にバラしにきたってこと?」
「かもしれませんねー?」
吹雪さんが訊くと、斎月は薄ら笑った。
ガタッ
「……放せ降渡。僕はそろそろこいつを殺(や)らなきゃいけない」
「まー待て? お前が向かって行っても返り討ちだから」
顔に影を作って今にも殴りかかりそうな吹雪さんを、降渡さんが羽交い絞めのようにして押さえている。
「嘘ですよ。帰国したら時間があったんで、こちらに寄ってみただけです。そしたら皆さん揃ってらっしゃる。兄さんに逆らったのは本当ですけど」
「あ、ドイツの大学に行ったんだっけ?」
「よく主咲が許したなあ」
私と降渡さんが続けて口にする。その間も吹雪さんは、降渡さんの捕縛に対してギリギリと反抗して殴りかかろうとしていた。
「吹雪さん、相変わらず怖いなあ」
「この人格破綻者め……よく普通のカオで僕らの前に出て来れるよねえ……?」
「普通を装うのは日常ですから。それから――」
「え? あれ?」
と、頼が自分の手元を見て驚いている。
私が反射的に斎月を見ると、斎月が頼のカメラを手にしていた。にっこり笑う。
「すみません。私、写真アウトなので、データ消してからお返ししますね」