「はじめまして。大和斎月といいます。流夜兄さんの大学の同期で、現同業者です」
――のも一瞬で、さっと何でもないカオをして挨拶した。何のプロだよ。
「………」
笑満、固まっていた。大洪水は収まりを見せない。
「あーあ。遙音が見つける前に自分から出てくるとかさあ、バカじゃないの? お前」
「バカですよ? 流夜兄さんには、一日に十回は言われますし」
「………」
吹雪さんのツッコミどころが悪かったらしい。
吹雪さんが敗北したみたいな顔をしている。
と言うか流夜くん、女の子(しかも弟扱い)に何てこと言ってるの。
「そんな私、ただいま絶賛反抗期です」
『………は?』
私と吹雪さん、降渡さんの声が揃った。
「流夜兄さんに反抗したくてバラしに来ましたってだけです」
「……お前、本当最悪な性格してるよね」
「それも半日に十回は言われます」
レベルあがってる。
「……本当に、神宮の相棒の『大和斎月』なんですか?」
ようやく先輩の思考は追いついたらしい。このタイムラグが、未熟のゆえなのだろう。
「そんなんじゃないですよ?」
「……違うの?」
「周りはそう言いますけど、私としては兄さんなので。兄さんも弟扱いしてきますし」
「周知の事実になってんじゃないですか」
「は、遙音くん? だ、誰?」
「あ、えーと……神宮の相棒って言われる、犯罪学者。雲居や春芽じゃなくて」
「学者さん? なんですか?」
「はい。あ、でも敬語とかしないでください。私のが年下ですし」
『………え?』
今度は笑満と先輩の声が揃う。
「私今、十五歳です」