「頼、ほんと頼むよ」

「うん」

珍しく、頼がはっきり目を開いていた。

帰り道、笑満を頼に託した。

九割がたの生活を寝ぼけ眼で過ごす腕は護身術程度も役に立たない幼馴染だけど、信用は出来る。

「笑満を無事に家まで送って行って」、と言えばそれは果たしてくれる。

級友の言う『日義の飼い主』からの言葉だからでは―――……たぶん、なくて、友達のお願いだからだ。……たぶん。

流夜くんのところを出て、考える時間は、余裕は、教室に帰るまでの数分。

考えは、笑満に寄った。

以前交換した連絡先にメッセージを送る。

自由業の相手はすぐに返事をくれた。「いいよー」と。相変わらず軽い。

それに私は「ありがとうございます」と返して、相手の指示も承諾した。

連絡の中で、笑満は家に帰すようにと書かれていた。

私は一人捕まえて向かう場所が決まった。