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「こんにちはー」
「いらっしゃい。絆くんも」
「お、お邪魔しますっ」
うちへ初めて来た絆さん。動作がカクカクしている。
出迎えた在義父さんと私は、二人を中へ導く。
「絆くんはうち、初めてだよね。降渡くん、連れて来ててもよかったのに」
「そんな畏れ多いです! あ、在義様のご自宅にそんな――って言うか在義様、お仕事よろしいのですか?」
「休日だから気にしなくていいよ」
カクカクした絆さんに、在義父さんは笑みを見せた。
降渡さんがすまなそうに小さく言って来た。
「すみません、絆まだ緊張してて」
「いや。いきなりこんなおじさんの家呼ばれてもだよねえ」
「そんなこと」
朗らかに笑う在義父さんと降渡さんと違って、ガチガチに緊張している絆さんに声をかけた。
「絆さん、よかったらお料理の味見とかしてもらえませんか?」
さりげなく、尊敬が勝り過ぎて緊張の対象であるらしい在義父さんから離してみると、絆さんは少し和らいだ表情になった。
……絆さんにとって在義父さんは本当、どんな存在なんだろう。
取りあえず、絆さんをキッチンに呼ぶことに成功した。
……もう少しここに慣れれば、絆さんの緊張もとけてくるだろう。
在義父さんと降渡さんはソファの方へ行き、絆さんだけキッチンに来る。
絆さんは興味深そうに私の手元を見てくる。
「咲桜さんってなんでも出来るのねえ」
「なんでもではないですよ。学校の勉強とか苦手ですし」
「でも降渡が咲桜さんの料理大絶賛してたわよ? あいつが他人褒めるの珍しいのよ」