……そんな風に考え始められていた、葉桜の頃。いきなり巡り合ってしまった。
家族になりたいと思った人と。この人の家族を、私が――と、望んでしまった人と。
病院を受診するのは、二人の誕生日が訪れた頃には考え始めていた。
ただ、どういう病院に行けばいいのか、インターネットで探してもわからなくて、また高校生の私には高すぎる敷居だった。
宮寺先生の口から告げられた日。流夜くんが迎えに来た日。それは覚悟に変わった。
夜々さんは保健医だ。病院にも通じている。
知り合いだからこそ頼むのは苦いものがあったけど、あの日隣にいて在義父さんに臨んでくれたのは、このおねえさんなのだ。
母親のように慕う。
夜々さんに女性の医師――そしてこういった方面の設備が整った病院を教えてもらって、ついていくと手を握ってきた夜々さん、いつかの公園で待っているから必ず来てね、と言った笑満の二人の力を借りて病院の門をくぐった。
〇・一パーセントの可能性と言われた、ほぼ無理だろうという診断。示されたのはそれだった。
生まれつきのもの。さだまってしまっている天命。世界を、急に大きく感じた。
「……〇・一パーセントを抱(いだ)いて、九九・九パーセントを否定する」
吹雪さんの固い声音に、私は顔をあげた。
「いいじゃない。そういう生き方があってもいいと思う。僕はそれを肯定するよ。――僕は、そういう風に生きている」
生きる方法があるなら教えてほしかった。
罪咎(つみとが)の命を。
優しい世界でどう生きればいいのか。
ゆるされたくなかった。でも、一緒にいたかった。
ゆるしてほしくなかった。でも、その笑顔を独り占めしたかった。
……どうしたら、私は生きていいの……?