「……どういうことだ?」

流夜くんが胡乱な顔で問う。

「お前は自分の家族に興味なさすぎんだよ。流夜が調べる気になれば、神宮家の事件も解決してんだろ」

「………」

衛さんの言い分に、流夜くんは黙った。

「つまり、簡単に言うと神宮美流子は養子だ。戸籍から確認が取れた。流夜の生まれた神宮家の遠縁の娘で、両親が事故死されて引き取られた。流夜が生まれる前――神宮美流子がまだ赤ん坊の頃に」

「―――――」

「……ほんとに知らなかったのか? 流夜」

「……そこまで探ってなかった」

「どんな不注意だよ。らしいけど。そういうわけで、吹雪依頼の『流夜と咲桜さんの関係の名前を明かしてほしい』は、血縁ではあるけど名前がつくほど近い関係ではないってことだ。いとこなんかよりもよっぽど遠い」

「………」

衛さんの口から出る言葉を、私は何度も瞬いて噛み砕いていった。

「……―――っ」

やっと最後の言葉まで頭が追いついて、流夜くんを振り仰いだ。

流夜くんは微かに目を見開いて、真正面を見ていた。

……血縁ではあるけど、美流子さんと流夜くんは姉弟、ではない? では、私と流夜くんは、叔父と姪、では………ない?

「吹雪、依頼終了でいいか?」

「うん。ありがと」

「じゃ、俺はこれで。あと咲桜さん、気が向いたら今度尊と話してみるといいよ。尊、専門は心療内科だから、話聞くの得意だからさ」

「あっ、はい! ありがとうございます」

「あと、吹雪流夜。蒼にはあんま面倒かけんなよ。あいつ、今子育てで忙しいんだから。白のヤツが尊の分まで産むとかのたまうから……」

「白と尊の超仲良しに嫉妬してるの?」

吹雪さんがいつもより二割増しのにやにや顔で言うと、衛さんは渋面を作った。