「不良のレッテルの帝が警察に入ったのなんて、衛を追っかけただけだろ」

「……………否定出来ないのが辛い」

衛さんのところだけ、重い空気が垂れこめてしまった。

なんか感情の上下の大きな人なのかなあ、なんて私が思っていると、吹雪さんが呟いた。

「衛って怒ってばかりだよね」

「お前らが怒らせることしか言わねえし、しねえからだよ。言っとくけど、俺にとってのお前らは流夜にとっての斎月とほぼ同じだからな」

「えー、僕ら衛の弟とか名乗るの嫌だなー」

「衛ら、なんだかんだきょうだい多いんだから妥協してろよ」

「なんで俺が悪者みたいな言い方されんだよ。お前らはバカみてえにめんどくせえってことだよ」

旧知らしい三人の応酬を聞いて、遙音先輩が頭の中にメモを増やしているな……と私にもわかった。

周囲の話を聞く限り、どうやら流夜くんたち三人は、自分たちを師事する遙音先輩には『見て学べ』というスタンスのようだ。

勿論、斎月のことも直接は話さない。

だからこういうところから情報を集めて行かないといけない先輩のようだ。

……大丈夫かなあ、流夜くんの弟こと、大和斎月が実は女の子で、しかも先輩より二つ年下。

知ったとき、先輩がショックしか受けない気がしてならない。

「お前らいると話が脱線しまくりだ。本題。咲桜さん、流夜の親族を名乗るのは、少し待ってもらいたい」

「………」

急に話が巻き戻って、私は唇を引き結んだ。

「まず、神宮美流子は流夜の血縁であっても、正しく姉ではないことが裏付けとれた」