「………咲桜」

笑満が私の隣に立って、右手を握ってくれた。

私の言いたいことがわかっているようだ。

「私……その、ゆるしてもらえるなら、………正式に、流夜くんの、親族、名乗りたいと思うんです」

「――え? それって……咲桜?」

先輩が驚きに目を見開く。

流夜くんを見ると、口を真一文字に結んでいた。

「あれな話なんですけど、私……流夜くんの家族は、私が、って願ってました。でも……それも、無理で。だから、私が……結婚っていう立場じゃないけど、家族になりたいんです」

「………」

「咲桜ちゃん……」

夜々さんに呼ばれて、本当のことをいうことを決めた。決意。

「――はっきり、言いますね。私と流夜くんの間に、血縁関係があるから、無理、じゃないんです。…………私、生理が、ないんです」

「………え? は?」

ぽかんとする先輩に、笑満が言った。

「あのね、遙音くん。女の子にはかなりデリケートな話だから、質問とかはしないでほしい」

「あ、ごめん……」

「いえ。……私、身長とかは小学校の頃から一番高かったんですけど、そういう子って、割かし早く初潮がくるらしいんです。でも……私は、十六になっても、ないんです」

あ、だめだ。気を付けていても哀しい感じになってしまう。

「……先日、夜々さんに付き添ってもらって、病院、行ってきました。……このまま、という可能性が大きいみたいです。だから、私が――――わっ⁉」

「ごめん。そんなところに、一人で立ち向かわせて」

流夜くんに抱きすくめられていた。久しぶりの状況に、私は頭が真っ白になった。