「俺さ、真理亜が、好きだよ。俺と真理亜って、真理亜の言う、ドキドキする恋とは違うかもだけど。俺は、真理亜といたら、ほっとしてさ居心地いいんだ」

とくん、と心臓が跳ねる。

今まで、気づいてなかったコトを暴かれたような、何かが、隠されている奥の見えないカーテンをそっと捲るような、はがゆい、ドキドキ感だった。

ああ、そっか。話すたび、目が合うたびにドキドキするだけが恋じゃないんだ。

私は、そんな簡単なことに今更気づいた。ドキドキする理由なんてなくても、春馬に、触れられただけで、嬉しくて、ほっとして、そばにいると安心する。春馬が笑うだけで、楽しくて、いつの間にか、私まで笑ってる。

手を繋ぐことも、抱きしめあうことも、小さい頃からの当たり前のように、ずっと、そうしていて欲しい。 

ーーーーこれからも、ずっと隣にいて欲しい。

「……あれ?いつから恋……始まってたの?」

『恋愛のススメ』に、書きたさなきゃいけない。

「俺に聞く?」

恋愛の定義付けは人それぞれであって、必ずしもそうである、と決めつけるコトは、誰にもできないのだ。

春馬が笑って、私もなんだか可笑しくて、二人で声を上げて笑った。

そして、私達は、この恋を、確かめるようにもう一度キスをした。初めてなのに初めてじゃないような、でも、いつまでもしていたい、幸せなキスだった。