「厄介って、この雨が?」
「この雨はただの雨じゃない」
「え?どういうこと?」
「この雨は怪異が降らせている。普通の雨じゃないということだ」
新城が言うには降り注ぐ雨の中にほんの少しだけだが、怪異の力を感じるという。
「雨の中に怪しい力が込められているというわけじゃないから放置をしていたが、流石に一週間は長すぎる。同業者が動く気配もないから様子を見に行くことにした。道具は持っているな?」
「勿論」
ブレザーをめくって、腰のベルトに隠している十手をみせる。
前の怪異との戦いで新城からもらった十手。
怪異を祓う力はないけれど、怪異に襲われる人達を守るために使える道具。
「戦うことになるの?」
「相手の出方次第だな、やるってなるなら、相手をしなければならない……ただ」
真剣な目で新城が僕を見る。
その目は怪異と対峙するときと同じくらいの覚悟を秘めていた。
「天候を維持するなんて相当の力を持っている相手だ。邪悪な怪異なら俺達の命はないと思った方がいい」
「そんなにヤバイ相手なの?」
「怪異というよりも妖怪や神に近い存在だと思った方がいい」
「前も聞いたと思うけれど、何が違うんだっけ?怪異と妖怪って」
「怪異は人を巻き込む、それは現象であったり、悪霊と呼ばれる、とにかく人に絡んだ事に関わるものだ。だが、妖怪は違う。人と異なる生命、祓い屋の扱う力とは別ベクトルの力を持つ強大な相手だ。上級、もしくは神に至っている存在なら勝てない。逃げの一手しかない」
「そんな存在が雨を降らせているの?」
「理由はわからないけどな」
警戒は怠るなよという新城に僕は腰の下げている十手を握りしめる。
雨の降る中、体育館に繋がる廊下を歩いていた時。
シャン、シャンと鈴の音色が響いてくる。
「出たぞ」
身構える新城。
鈴の音色と共に雨が降り注ぐグラウンドからある一団が姿を見せる。
けれど、それは人ではない。
「さ、魚?」
大名行列のような集団が僕達の前にやってくる。
着物姿の彼らの顔は魚だ。
「この雨はただの雨じゃない」
「え?どういうこと?」
「この雨は怪異が降らせている。普通の雨じゃないということだ」
新城が言うには降り注ぐ雨の中にほんの少しだけだが、怪異の力を感じるという。
「雨の中に怪しい力が込められているというわけじゃないから放置をしていたが、流石に一週間は長すぎる。同業者が動く気配もないから様子を見に行くことにした。道具は持っているな?」
「勿論」
ブレザーをめくって、腰のベルトに隠している十手をみせる。
前の怪異との戦いで新城からもらった十手。
怪異を祓う力はないけれど、怪異に襲われる人達を守るために使える道具。
「戦うことになるの?」
「相手の出方次第だな、やるってなるなら、相手をしなければならない……ただ」
真剣な目で新城が僕を見る。
その目は怪異と対峙するときと同じくらいの覚悟を秘めていた。
「天候を維持するなんて相当の力を持っている相手だ。邪悪な怪異なら俺達の命はないと思った方がいい」
「そんなにヤバイ相手なの?」
「怪異というよりも妖怪や神に近い存在だと思った方がいい」
「前も聞いたと思うけれど、何が違うんだっけ?怪異と妖怪って」
「怪異は人を巻き込む、それは現象であったり、悪霊と呼ばれる、とにかく人に絡んだ事に関わるものだ。だが、妖怪は違う。人と異なる生命、祓い屋の扱う力とは別ベクトルの力を持つ強大な相手だ。上級、もしくは神に至っている存在なら勝てない。逃げの一手しかない」
「そんな存在が雨を降らせているの?」
「理由はわからないけどな」
警戒は怠るなよという新城に僕は腰の下げている十手を握りしめる。
雨の降る中、体育館に繋がる廊下を歩いていた時。
シャン、シャンと鈴の音色が響いてくる。
「出たぞ」
身構える新城。
鈴の音色と共に雨が降り注ぐグラウンドからある一団が姿を見せる。
けれど、それは人ではない。
「さ、魚?」
大名行列のような集団が僕達の前にやってくる。
着物姿の彼らの顔は魚だ。