体からモヤを出そうとしている退魔師だが、地面から伸びてきた白い鎖が体に巻き付いていく。

「これは!?バカな!山の心を開いたというのか!?」

何かに驚いている退魔師。
必死に逃れようと足掻いているようだが、巻き付いている鎖がさらに巻き付いて、女性の体から引きはがしていく。

「己ぇ!なぜだ!この術は既に失われ――」
「悪いけど」

退魔師をみる新城の目は冷たい。

「御山は怒っているぞ?罪もない人、獣、木、すべての命を奪うようなお前の事を赦さない。緑清らかな山の中で何百年、何千年も浄化を受けるんだな」
「ふざけるな!妖怪を滅ぼすまでは、我――」

最後まで言い切る前に退魔師は地面に吸い込まれて消えた。
残されたのは僕、新城、そして地面に倒れている女性の退魔師。

「あの男の退魔師はどうなったの?そもそも、あれは何だったの?」
「さぁな、わかるのは長い事生きて、自らが生きているのか、幽霊なのかすら忘れてしまって憎しみ以外残していなかった怪異だということくらいだ」
「正体不明?」
「どうでもいい、とにかく、俺達の仕事はこれで終わりだ。あぁ、そうだ」

新城がこちらへやってくる。

「さっき、俺が使った術については黙っていろ」
「山がどういうこうっていう奴?」
「そうだ。知られると色々と面倒になる」

眼帯に触れながら僕を見る新城の目はいつもみる自信満々の目とどこか違っていた。
なんといえばいいのだろう、不安だろうか?
秘密にしたい理由とか、そういうことはわからないけれど。

「わかったよ」

僕が頷くと新城は驚いた表情を浮かべる。

「どうしたの?」
「いや、あっさり頷かれるからな」
「僕は新城を信じる。新城が言わないでという事なら僕は言わないよ」
「……そうか」
「あ、でも」

横を歩く新城。
彼と行動を共にしているけれど、まだ彼について知らないことが多い。
出来るなら、