「今日も雨かぁ……明日くらいは晴れてほしいんだけど」
「どうだろうね」

昼休み、弁当を食べていると窓の景色を見ている瀬戸さんがぽつりと呟く。
大ぶりというわけでもないけれど、雨が窓を叩いている。

「雨が嫌いというわけじゃないけれど、一週間も雨が続くと流石にうんざりするね」

しとしとと降っている雨に瀬戸さんがうんざりした表情で机に突っ伏す。

「これはただの雨じゃない」

昼休み、寝袋にくるまっていた新城がむくりと体を起こす。

「新城?」
「え?どいうこと、ただの雨じゃないって」
「っち、面倒なことをしやがって」

寝袋からはい出てきた新城は舌打ちしながら廊下へ向かう。

「行くぞ、ついてこい」
「あ、うん」
「アタシも」
「お前はついてくるな」

立ち上がった僕に続こうとした瀬戸さんを新城は止める。

「なんでよ!?」
「怪異絡みだ、関わると碌な事がない。特に今回はついてくるな!」
「その理由を」

新城はバンと瀬戸さんの眼前で手を叩く。
驚いて尻餅をつく瀬戸さんを新城は一瞥する。

「うっさい、問答無用。行くぞ」
「あ、うん」

頷いた僕は新城の後に続いて廊下に出る。

「待ってよ、まだ話は終わって」

詰めよろうとしたところで新城が言葉を紡ぐ。
僕らが理解できないという事は怪異等に使うような術だ。
後を追いかけようとした瀬戸さんは壁にぶつかったみたいに動きを止める。

「痛い、え、なんで、通れないの!?」

「しばらく大人しくしていろ。お前の為でもある。面倒ごとに自分から突っ込もうとするな」

驚いて見えない壁をバンバンと叩きながら困惑している瀬戸さん。
新城はしばらく外に出られないという事を伝えると歩き出す。

「ごめん、後で」

どうやら防音もしっかりしているらしい。
何を言っているのか聞こえない瀬戸さんに謝罪する。

「術を使うなんてやりすぎなんじゃないの?」
「アイツは怪異に関わろうとする。何の覚悟も意思もない奴は買いに関わらない方がいい。
特に、今回みたいな厄介な案件は」