「使える道具はなんでも使う。わかるだろう?術者であれば」
「そうだな、否定しない」
「残念だよ……貴様なら理解してくれると思ったのだが」
「何をもって理解者になりえると思ったのか?まぁ、いいや、交渉は決裂だろ。だったら」

パチンと凍真が指を鳴らす。
鋭い爪を振り上げようとしていた怪異が砕け散る。



「ふむ、この程度の実力か」

ブンと返り血を振り払って刀を構える一人の青鬼。

「鬼、か」
「知性のない相手とやりあうのはつまらない。やはり、お前様と斬りあっているのが良いな」
「悪いけど、僕は戦闘狂じゃないから」

同じように刀を構えながら新城を守る。
退魔師は鋭い目で僕らを見ていた。

「守りてぇ、そして、妖怪が手を取り合うだとぉ?愚かな」
「なんとでもいえよ。使える手札は何でも使う。それが術者だろ?」
「フッ、この程度で終わりだと思うなよ」

退魔師の周りを守るように現れる下級怪異。

「どこまで体力が持つかな?」
「体力の心配など不要、ただ、斬り殺せばいいだけだ」

拳で近くの怪異を叩き潰す青鬼の彼女。
僕は静かに刀を構える。

「新城、ここは任せて」
「あぁ、悪いが終わったらすぐに来てくれ……多分、最悪の事態を想定しないといけないな」

鋭い目で新城は歩き出す退魔師の後ろを見る。

「露払いは僕に任せて」
「そこは僕達であろう?お前様」
「……行くよ」

彼女の言葉に返事しないようにして僕は駆け出す。
新城の道を妨害しようとする怪異の首を刀で斬り落とした。
僕が使っている刀はただの刀ではない。
妖怪が怪異と対抗するために鍛えられた刀の一つらしい。
不思議と手に馴染む事に驚きながら新城を先へ行かせるために怪異を殺す。

「流石だな、お前様!これが終わった後に是非とも」
「無駄口を開く暇があるんなら敵を一体でも倒す」