「その言い方からして、怪しいのか?」
「変わり身を用意する程の疑り深い奴だった。俺が対策を施していることに気付かない訳がない。考えられることは」
「罠?」

僕の問いかけに新城は頷く。

「敢えて術札を残している可能性もある。奴は人間と妖怪の間に戦争を起こしたいみたいだからな。俺達の前でミズチの首をスパーンかもしれん」
「ヒッ」
「坊主、それはシャレにならんからやめてくれ」

室内に広まった殺気に怯える彼方。
青山も周りを見てため息を零す。

「そうだな、ふざけすぎた。さて、まずは俺と雲川で札の反応がある場所へ向かう。その後、状況を見て、そこの鬼女が参戦、青山の大将の部隊は周辺の警戒等を頼んでいいか?」
「あぁ、だが、ミズチ様を探して助け出しても構わんだろう?」
「そうだな」

好戦的な青山の言葉に新城は頷く。
娘もそうだけど、青山って人も好戦的な気概があると思う。

「鬼女というのは私の事か?私はお前様と一緒がいいぞ」

沈黙していると思っていたら急に僕の腕を抱きしめてくる。

「祓い屋、私は協力するが一番はお前様の戦いがみたいのだ!それができないのなら協力はしない」
「……このバカ娘」

青山が額に手をのせる。
沈黙した新城が彼女の前に立つ。

「お前の実力はさっきみた。闘争本能が青鬼にしては珍しく高いみたいだな。そんな奴が人間で俺の右腕(あいぼう)である雲川と一緒にいて何もしないという約束ができるか?」
「できる。私はただ無作為に殺したいというわけじゃない。戦闘よりもこの方の戦いを間近でみたい。そして」
「……そして?」
「まだ確信が出来ていないから話せない」
「そうか、じゃあ、計画変更だ。俺がまず一人で行く。その後、事態が悪化したら雲川と一緒に……鬼女と突撃しろ」
「任せて」
「それなら問題ない」

僕が了承すると彼女も頷いた。

「じゃあ、細かいところは俺と青山の大将と話し合うからお前らは準備を始めろ」