「いつか、僕も新城の事、もっと知りたいし」
「気持ち悪いこというな。鳥肌立っただろ」

ぶるりと体を震わせる新城の姿に僕は笑う。

「笑うな、全く、好きかっていう右腕だな……まぁいい、いつかは伝えよう」
「その方がいいよ」
「体の方は動けるか?」
「うん、大丈夫」

少し鈍っているけれど、動かせば問題ない。

「一条彼方も目を覚ましている事だろう、俺達も準備を終えたらミズチを助けに行くぞ」
「うん、あ、でも、その前にやりたいことがあるんだけど」
「やりたいこと?」

僕は頷く。

「戦力確保……少し危ない賭けになるけど」
「考えなしじゃないならオーケーだ。行くぞ」

伸ばしてくる手を僕は掴む。
立ち上がった僕は新城の横に立つ。

「作戦はあるの?」
「あるが、まずはいつもどおり臨機応変に行くぞ」
「わかった」



















「お前様か」

薄暗い牢屋、この場合は座敷牢といえばいいのだろうか。
座敷牢は犯罪者収容の施設というより設置者もしくは利用者の私的な理由により対象を監禁する為の場所。
新城の話によると彼女はまだ妖界の法を破ってはいないらしい。
限りなくグレーゾーンという事だけれど、戦力は必要。

「その様子では完治したようだな。嬉しいぞ」
「どうして僕に拘るの?」
「惚けないでもらおう。お前様は強い……妖怪の中でおそらく上位に匹敵する力を今後持つだろう……私はそんな強い相手と戦いたい」
「戦う事にどうして拘るの?」