「落ち着け、雲川……落ち着くんだ」

横から伸びてきた新城の手が僕の手に触れる。
青鬼を殴った事で出血している手に温もりを感じた。

「お前は生きている。死んでいない……殺意を引っ込めろ。生きているんだ」

諭すように話してくる新城の言葉が僕の心に染みこむ。
ゆっくりと握りしめていた拳を解いていく。

「そのまま深呼吸だ。よし……痛むところは足と手だけか?」
「多分」

深呼吸をしたおかげだろうか、ある程度、落ち着いてきた、と思う。

「さて、この状況について説明をしてもらおうか?大将さんよぉ」

新城の言葉に顔を上げると青山が青鬼の娘を肩に担いでいる。

「これに関しては俺の落ち度だ。本当にすまんと思う……その者の手当は俺達に任せてくれないか?必ず」

疲れたのかな?
意識が朦朧とする。

「時間が惜しい、仕方ないな……おい、瀬戸」

新城が瀬戸さんを呼んでいた所で僕の意識は闇に堕ちた。



















「限界を超えて気絶したか」

新城は意識が消えて倒れそうになる雲川をぎりぎりのところで抑える。
離れた所で先ほどのやりとりをみていたユウリがおずおずと近づいてきた。

「大丈夫なの?雲川は」
「意識を失った。手当が必要だが、時間が惜しい。喜べ役立たずのお前に出番が来たぞ」
「助けが必要なら助けてと言えないわけ?」
「さぁ、そんな言葉は溝に捨てた」

意識を失った雲川を担ぎ上げる新城。
しかし、身長差故に雲川の足をずるずると引きずっていた。
誰もいない部屋で雲川を寝かすと周囲に何かを描いていく。

「何をしているの?」
「治癒術を使う……だが、俺はそっち方面がからっきしなんでね。お前に調整をしてもらおう」
「ちょ、調整!?待ってよ。アタシ、アンタや柳生さんみたいに特別な力なんて持っていないのよ?」

慌てるユウリ。